医療従事者を守ろう

医療崩壊、感染爆発が迫ってきている。最近の感染数の増加は、PCR検査の体制が整ってきたことだけでは説明できない急増ぶりで、重症者数や死亡数も増加してきている。特に気になるのは、東京都の感染者の急増で、ここに来て北海道や大阪を超えている。感染拡大を駆動すると言われる10代、20代の若年層の感染増加も気になるところである。

出典:厚生労働省ホームページ

小池都知事も安倍首相も、「緊急事態宣言」をほのめかし始めている。しかし、「緊急事態宣言」の発動は難しい。一気に不確かな情報が大量に広がるインフォデミックや人々が物資の買い漁りに走るようなパニック状況が起こる契機になりかねない。何より、それでなくても高まっている人々の不安やストレスをさらに高め、かえって新型コロナウイルスに対する心身の抵抗力や免疫力を低めてしまう可能性がある。また、移動や物流、金融などのインフラ機能が制限されてしまうと経済社会の生態系が一挙にダメージを受けてしまう。

小池都知事が緊急事態宣言が出た場合の東京都の対応の説明を聞く限り、外出の自粛、大規模施設やイベントの停止や中止を求めるが、生活必需品の流通・販売や金融サービスの停止はしないとのこと。すでに不要不急の外出の自粛は求められているので、この説明を聞く限り、それほどの行動制限や監視を強いられるわけではなさそうである。仮に 「緊急事態宣言」 が出された場合にも冷静に対応することが必要だろう。

まず、私たちがいま最も意識すべきことは医療従事者を守ることである。そして、健全な医療機能を維持することである。 感染者が入院している病院の看護師さんのお子さんが、保育所で隔離されたというような報道を見聞きすると心が痛む。いまほど、医療従事者へのリスペクトが必要な時はない。

感染しても無症状や軽症であることがほとんどのために誰が感染を広げるスプレッダー役になるかわからない。一方、高齢で持病をお持ちの方などが一旦重症化すれば、急速に肺炎が進み死に至る。この新型コロナウイルス感染症の特徴を考えると、発熱等の症状があったとしても、その症状が軽い場合はむやみに病院に行かないほうがよい。検査結果が陽性だったとしても無症状、軽症だった場合は、入院を求めるべきではない。それが、医療崩壊を防ぐことにつながる。入院隔離ベッドは重症者に譲るべきである。 都内では、確保している病床約750床のうち4月2日夜時点で628人分が埋まっているとのことである。

自宅で発熱や咳なとの症状があっても病院にかかるのを控える場合、検査で陽性とされたが自宅療養を求められた場合、われわれはどうすべきか。このあたりの情報は、まだ十分に提供されていない。 個室で生活。食器、寝具、歯ブラシは共用しない。患者の世話は特定の人がマスクをつけて行う。患者が触れるドアノブなどは1日1回以上拭くなどの感染予防情報はあるが、本人の療養方法に関する情報は少ない。

世界の感染者が100万人を超え、死者が5万人を超える状況を救うための合言葉は、もはや「TEST(検査)、TEST、TEST」ではない。死亡者数はイタリア、スペインでは1万人を超え、米国でも4月4日には7,000人を超えた。日本の死亡者数は、まだ63人である。まだ医療崩壊を防ぐことはできる。合言葉は「CARE、CARE、CARE」である。自分の心身のケア、家族やまわりの人のケア、医療従事者や社会を支えている人々へのケアを、ありったけの愛情をもってすることがこの危機を乗り切るためには必要である。

ただし、不要不急の外出、密閉、密集、密着の他者との濃厚接触は避けて、できるだけ在宅でということになる。

非常事態宣言が出て外出が制限されると、いつもの休日のようにゴロゴロ過ごすには少し時間があり過ぎるかも知れない。読書でもして、地球環境や人生を見直すよい機会かも知れない。このコロナ禍で温室効果ガスは確実に減少するだろう。こうした感染症の蔓延は人類の汚染活動を止めるための地球の自浄作用のひとつかも知れない。そういえばスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんが感染したとの報道を見かけた。彼女には少し休んでもらって英気を養ってもらいたい。