社会環境研究

社会環境研究所

1991年、それは湾岸戦争で幕を開け、ソ連邦崩壊で幕を閉じた激動の年でした。この年、ノルドはPEOPLE’S THINK TANKとしての独自の調査研究領域を定め、分析力と政策提案力を継続的に強化すべく「社会環境研究室」を設置しました。そして2002年には、「社会環境研究所」と改称し、その体制・機能の充実を図りました。
社会環境研究所の調査研究領域は、(1)個人および機関を取り巻く社会的環境(Social Environment)、そして(2)人間社会と環境=生命系との関係(Relations between Human Society and Ecological Environment)です。

社会環境研究室発足の翌92年、リオデジャネイロで開かれた地球サミットは、地球環境問題の深刻さと同時に、南北の利害対立など、その解決の困難さを表面化させて終わっています。 そして10年後、社会環境研究所として新たにスタートした2002年には、ヨハネスブルクで環境・開発サミットが開かれましたが、人類社会の存続・持続的発展のために環境保全への努力が最も緊急であることが世界的に確認されながらも、米国の大統領欠席や京都議定書からの離脱に象徴されるような新たな利害対立により、多くの課題を積み残すことになりました。

時代は、政治経済体制の違いを越えた人類社会の危機への対応を迫っており、それは、政府、自治体、企業など諸機関の組織原理・行動原理のみならず、諸個人の生活、労働のあり方を根底から見直すことを求めるものです。人類の英知と想像力がまさに試されるときであります。
この複雑で困難な社会環境を調査研究対象として立ち向かうとき、私たちには、勇気と、謙虚さと、慎重さが必要だと考えています。私たちには自分たちの力量不足・蓄積不足を理由に躊躇している猶予はありません。「勇気」を持って問題の核心に迫らなければなりません。しかし、事態は常に私たちの予測を超えて展開する危険性があります。みずからの限界について「謙虚」でなければなりません。また、未来の世代にとっての可能性を摘み取ってしまう愚行を避けるには「慎重さ」が必要なのです。